2020年10月11日 / 最終更新日時 : 2020年10月11日 caz81 未分類 カローラの荷室 夏の暑い日。ガレージなどないから、車は直射日光に日の出から晒されて続けている。だからといってその見た目が普段と何か違うというわけでもない。後ろのトランクを開けると、シートのビニールの匂いが鼻を突く。地面を歩いた靴でその […]
2020年10月10日 / 最終更新日時 : 2020年10月11日 caz81 未分類 故郷 鯛丸ごと1匹が捌かれて、プラスチックの大皿に盛られている。口は硬く閉じられているが、まだ透き通っている二つの瞳は天井を向いていた。大人2人で昼食に全て食べ切るには余りにも多い刺身の量だった。しかし喜んで余らせたいと思う […]
2020年10月9日 / 最終更新日時 : 2020年10月10日 caz81 未分類 100日 いつも朝7時過ぎに開ける分厚いカーテンが、今日目を覚ました時には既に引かれていた。数日前から続いている曇り空。部屋の中はいくらか明るくなったけど、薄暗いことに変わりはなかった。目覚めは悪くない。コーヒーはほとんど飲まな […]
2020年10月8日 / 最終更新日時 : 2020年10月9日 caz81 未分類 一長一短 この世に完璧な人間などきっといない。少なくとも僕はこれまでそんな人に出会った記憶はない。限りなく完璧に近いと思われる人や物であっても、それは万能と同じ意味ではない。不完全な人間が完璧なイメージを描きながら最善を尽くした […]
2020年10月7日 / 最終更新日時 : 2020年10月8日 caz81 未分類 月かと思った この世界では失われて二度と息を吹き返すことのない命まで、記録に残す必要がある。他の誰かに推し量ることなど到底できない程のとても深い悲しみの底にいながら、何とか天井の小さな明かりを見つめ続けるような心境。どんな言葉なら、 […]
2020年10月6日 / 最終更新日時 : 2020年10月7日 caz81 未分類 互いに熱く 夜寝る時には、よっほど寒くない限り半袖と短パンで布団を被っている。東京にいてとても寒いと感じる日数はそんなに多くない。初めて群馬県の草津温泉に出掛けたのが12月だったが、その時の寒さが今までで一番身体に応えた。それを思 […]
2020年10月5日 / 最終更新日時 : 2020年10月6日 caz81 未分類 実家 大きな通りから逸れると、車の台数は一気に少なくなった。道の両脇には収穫にはまだ遠い若い稲の田んぼが広がっている。アクセルに乗せていた足の緊張が自然と緩んでいく。幼稚園だろうか。園庭には子どもの姿は見えない。海辺の街だか […]
2020年10月4日 / 最終更新日時 : 2020年10月4日 caz81 未分類 速い遅い 二つ折りのガラケーを使っていた頃を思い出す。ネットには繋がっていたけど、ページにはほとんど文字だけが表示されていた。メールの送受信もできたけど、これもほとんど文字だけのやり取りだった。自分で撮影した写真を誰かに送信する […]
2020年10月3日 / 最終更新日時 : 2020年10月4日 caz81 未分類 カレーなる行列 駅前には毎年恒例の黄色い屋根付きのブースが出来上がっていた。そしてその隣には金色のコスチュームに身を包んだサングラス姿の男性が佇んでいる。そう言えば下北沢の至る所に、タウンホールの屋上で撮影したであろう写真で作られたポ […]
2020年10月2日 / 最終更新日時 : 2020年10月3日 caz81 未分類 音読 「音読」と言えば小学校の国語の宿題を思い出す。先生に決められた数ページ、もしくは教科書に掲載された物語ひとつをまるごと誰かに読み聞かせるという課題が頻繁に出された。音読を聞かせる相手は大抵は父親か母親だ。読み終えた後は […]