2020年9月30日 / 最終更新日時 : 2020年9月30日 caz81 未分類 前日 僕が生まれた病院は、海沿いの小さな町にある。太平洋の反対側には山並みが連なって、沈む夕陽をより一層美しく見せてくれる。今もその病院はそこにあって、地域の人達の助けになっているだろうし、こうしている間にも新しい命の誕生を […]
2020年9月29日 / 最終更新日時 : 2020年9月29日 caz81 未分類 黄色い小鳥 数日だけ寒い場所に出掛けていたから、9月も終わろうとしている東京が暖かく感じる。開け放った窓から部屋に入ってくる涼しい外気の流れを肌で感じ取る。今年も残り約3ヶ月となった。もう年内はオフィスに戻って働くことはないかもし […]
2020年9月28日 / 最終更新日時 : 2020年9月28日 caz81 未分類 つむじ 陽が落ちてから既に数時間が経過していた。西日が強く差し込んで暖かかった部屋も肌寒く感じた。借りて来た車に、荷物と少しの手土産を積み込んで走り出した。前日の濃霧で前方が全く見えていなかった山道も、今日はヘッドライトが照ら […]
2020年9月27日 / 最終更新日時 : 2020年9月28日 caz81 未分類 弔い 人間はどうしようもない程避け難く、皆いつか死を迎える。それと同時に永遠にも似た時間を過ごしているような感覚を時折味わう。それは本当に心の底から永遠に続けばいいという、叶わない願いにも似ている。生まれも育ちも違う人間同士 […]
2020年9月26日 / 最終更新日時 : 2020年9月28日 caz81 未分類 最後の1枚 ゲームは各自7枚の手札が配られた後に始まる。トランプの一束よりも高く積まれたカードの山の、一番上のカードをめくって試合開始だ。1人ずつ順番に手札からカードを出していく。どのカードでも出せるわけではない。数字が書かれたカ […]
2020年9月25日 / 最終更新日時 : 2020年9月27日 caz81 未分類 霧の目隠し 肌寒い朝だった。曇り空ではあったけど、窓の向こうの景色がまだ闇に紛れてしまう前に、押入れから羽毛布団を引っ張り出した。もう夏の暑さは二度と戻らないだろう。秋だと思っていたら、あっと言う間に冬になるはずだ。まだかろうじて […]
2020年9月24日 / 最終更新日時 : 2020年9月24日 caz81 未分類 9月の朝 いつまでもTシャツと半ズボンで出掛けられると思っていた。もちろんそんなはずはないのだけど、そんな天気になるのを期待して眠った。深夜に一度は必ず起きる。起こされると言った方が近いかもしれないが、息子のおむつを交換する為に […]
2020年9月23日 / 最終更新日時 : 2020年9月24日 caz81 未分類 泣き言 これから先、僕はたったの一度も泣き言を言わずに、どんなに辛い出来事が待っているとしても必ず状況は良くなると信じて生きて行けるだろうか。他の誰かを傷つけるくらいなら、自分の歯を思いっきり食いしばって、荒ぶる感情が平穏を取 […]
2020年9月22日 / 最終更新日時 : 2020年9月22日 caz81 未分類 間違い探し 大きなセダンを2台くらい停められそうな奥行きがある。横の壁一面には、長方形の巨大なキャンバスが貼られていた。どこかの制作現場で余った資材を使ったそうだ。10mは超えるであろうその白地の上に、鉛筆で巨大な絵が下書きのよう […]
2020年9月21日 / 最終更新日時 : 2020年9月21日 caz81 未分類 片道切符 線路途中の駅で停まった列車は、遅かれ早かれ必ず動き出す。行き先がどこであれ、途中で止まったまま乗客も降ろさずじっとしていることはない。僕は最初から電車の乗り方を知っていたわけではない。高校を卒業するまではずっと自転車で […]