鬼滅が気になる

 『鬼滅の刃』が日本の歴代興行収入で1位になったことは知っていた。amazonで配信されているアニメ版も一通り観た。原作の一部がアニメ化され、公開中の映画もその原作の一部だそうだ。となるとアニメ化されていない部分がまだ多くあって、物語の核心にもまだ迫り切っていないと言える。冒頭の凄惨な場面を観ただけでは、なぜと浮かんだ疑問が解消されるわけではない。主人公が修行を積んで、敵である鬼達との戦いが始まってもそれは変わらない。そして一度始まった物語は必ずどこかで終わりを迎えるはずだから、何とかしてそれを自分の目で確かめたいと思った。でも単行本を一度に最終巻まで揃えて新品で買うのは難しい。新品で買っても一度読んだらそれで満足してしまうかもしれない。でももし万が一気に入ったなら、そのまま手元に置いておきたいとも考えていた。

 電子書籍なら確実に手に入れて読むことができる。しかも本を都度持ち歩く必要がない。利便性で言えば問題はないが、何度も繰り返して読まないのであればもったいない気がする。買った金額と同じではなくても、読み終わった後に買い取ってもらえる可能性がある買い方をしたい。そうなるとやはり紙の書籍を何らかの方法で手に入れるべきだろう。年末に下北沢の古本屋に出かけた時に、『鬼滅の刃』の全巻セットが売られていた。詳しい金額は言わないが、1冊に換算すると1.5倍くらいの値段が付けられていた。いくら需要があると言っても、簡単には手が出せないような値段だったし、金額だけで言えば新品を全巻購入した方が安い。他の方法で手に入れられないか調べることにした。

 ネットのフリーマーケットサービスはどうだろう。古本屋の値段を基準にして比べてみる。自分が思っていたよりもかなりたくさん出品されていて、中には新品と謳われている商品もあった。元々ネットショッピングがあまり好きではないし、現物を見れないのはちょっと心配だ。もちろん出品者が嘘をついているとは思ってないけど、個人同士のやり取りだから絶対とは言い切れない。再販することを考えても極力安価な物を選びたかった。物語の結末を知るという目的は最初からはっきりしているから、新品かどうかには拘らない。YouTubeの解説動画を見れば大筋で内容は把握できるかもしれないが、そこには大なり小なり動画製作者の解釈が入るから、誰かの視点ではなく自分自身で確かめたかった。

 年末から年明けまで悩み続けて、前述のフリーマーケットの中古品を購入することにした。古本屋の価格よりも数千円安い。実家から東京に戻った昨日届くように事前に注文しておいた。自宅に戻ったのは前日の夕方で、まだ太陽は明るく輝いていた。実家は山が近かったが、今の下北沢で住んでいる場所からは見えない。気温が少し東京の方が高い気がする。体感的には暖かいと言えるくらいだ。荷室一杯になった荷物を降ろしたら車を返しに行った。漫画が届く時間まではまだまだ余裕がある。夕飯は簡単に済ませたいと思ってスーパーで寿司を買った。荷解きも程々にして風呂に入る。実家の風呂は広かったなと思う。両肩が浴槽に付くことはないから窮屈な姿勢で入る必要がない。特別大きな風呂というわけではないけど、子どもの頃から何千回と入り続けたそこに、自分の子どもと一緒に入ることになるとは想像していなかった。

 風呂に入っている間に荷物が届いていた。夕飯を食べてひと段落してから読むことにした。一旦読み始めたらきっと他のことが手に付かなくなると思ったし、まだ息子を寝かしつけていなかった。手提げ袋で包まれた荷物を開けると、全23巻が3つに分けて包まれていた。全て揃っているのを確認したら早速1巻から読み始める。眠たくなってどうしようもなくなるまでは読み続けようと決めていた。10巻に辿り着く前に睡魔が押し寄せて来て、無理矢理読み進めても内容を忘れそうだったからそこで止めにした。そして夜が明けた後、再び僕の指はページをめくり始めている。

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

未分類

前の記事

駿河湾と雲丹
未分類

次の記事

日輪刀DX