「イクメン」に勇気はいらない

 僕は不思議に思う。育児休暇の取得を考えていることを「勇気あること」と言われた。イクメンという言葉が好きではないだけ。僕は決して怒っていない。男性が育児休暇や子育てに関わることだけが何か特別なことのように語られることをおかしいと思うだけ。なぜイクママとは誰も言わないのか疑問に思うだけ。断っておくが、あくまでも僕個人の考えである。

 あと半年で、子どもが生まれる。妻とふたり暮らしなのでできるだけ一緒に子育てに取り組みたい。僕のわがままで、実家を出て自分の暮らしたい場所にいるのだから当然だと思うし、そもそも住む場所に関係なく夫婦それぞれができる限りの協力はし合うべきだと思う。勤め先に育児休暇について相談をした。男性で育児休暇の取得の申し出があまり頻繁にないということで、次回また必要であれば申請するかどうかも含めて話をすることになった。育児休暇のメリットとデメリットについて大まかな説明を聞いた上で、有給を使って1ヶ月ほど休み、子育てに専念することも検討するつもりだ。

 育児休暇を1年間取得した場合、元の職に戻れるかどうかは約束できないとのことだった。それならそれで仕方ないとは思ったが、職に戻れるかどうかよりも、その後に言われた言葉がどうも引っ掛かった。育児休暇の取得を検討していることや、夫婦で協力して育児に取り組みたいという気持ちを「勇気あること」という言葉で表現されたのだ。もちろん相談に乗って頂いた方は前向きな意味でおっしゃっていたと思う。

 育児休暇を取得して育児に取り組むという行為を「勇気あること」と言われるのはしっくりこない。その行為に、勇気が伴うという認識はどこから来るのか疑問だった。男性は外で働き、女性は家で子育てというのが過去の定型だったからか。今は逆転している夫婦もいるし、臨機応変にやりくりをしている夫婦も珍しくないだろう。そこに夫婦間の合意と信頼があれば、勇気の有無は重要ではないと思う。

 イクメンとはどんな人物だろう。僕は育児に関わりたいと思っているし、親であれば避けては通れない責任を喜んで引き受けようと思う。育児に積極的な男性をイクメンと言うが、イクママという言葉は聞かない。母親は育児に積極的ではないからか。そんなことがあるはずがないと思う。少なくとも僕の母は全身全霊で子育てをしていた。女性が子育てに積極的なのは当然だと、心のどこかで思っているからではないか。当然のことだから、敢えて言葉にする必要はないと。

 昨日まで正しいと思っていたことが、今日も正しいとは限らない。昨日までの自分と、今日の自分が同じとは限らない。皆が常識だと思っていることが変わり続ける中で、変わらないものを求め続けたい。勇気を胸に。

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