前も後ろも動く

 ほぼ正方形の形をした玄関の壁際に、ベビーカーが折り畳んで置いてある。お祝いとして買ってもらった物なのだけど、大き過ぎなくて移動の際にはとても重宝している。全体的に灰色をしていて、フレームの所々に差し色的な白が混じっている。スライド式と押すタイプのボタンが両方付いていて、二つを一緒に操作しないと展開しない仕組みになっている。おそらく安全の為なんだろう。本体も重た過ぎず、担いで運ぶ為の紐も付いているので、部屋がある2階から運ぶ時でも苦にならない。

 苦にならないと言ったが、建物内にエレベーターが付いているわけではないので、さすがに息子をベビーカーに乗せたまま住居内を移動することはできない。1階に降りる階段はお世辞にも広いとは言えないし、妻と2人で持ち上げながら運ぶのも現実的ではない。だからどちらかが先に下までベビーカーを持って行ってから、息子を抱き抱えて出かけている。途中で飲み物を買った時の為のドリンクホルダーと、荷物が増えた時の為のフックも自分達で購入して備え付けた。座面の下にも結構な荷物スペースがあるから、おむつを買うくらいなら問題なく歩き回れる。

 場所を取らないので、特に東京で人が多い場所や電車内であまり気を使わなくて済む。もちろん全く気を使わないわけではない。電車に乗ればどうしても通路の場所をある程度奪ってしまうし、混んでいると駅に到着して降りるのも一苦労だ。優先席に座ると出入り口までは遠くなるし、他の乗客に譲ってもらいながら乗り降りをしている。日除けは最初から付いていたけど、広げると微妙に隙間が空いている。目一杯伸ばそうとしても、息子の身体に当たる日差しを完全には遮断できていない。

 でも抱っこ紐もそうだが、こうだったらいいのにというのが一つもない完璧な製品はないなとも思う。ちなみにベビーカーでもう一つ要望があるとすれば、前だけではなくて後ろの車輪も動いて欲しいくらいだ。本体が大きくないという利点を生かすには、前輪だけよりも前後両方動いた方がより小回りが効くし、今より柔軟に動かせるはずだ。きっと何かの意図や理由があって前輪だけ動くようになっているとは思う。抱っこ紐だけで1日過ごすのは体力的にも余裕が無くなる。何だかんだあれこれ言っても、やはり子育てをする上で確かなことは、それがあってとても助かっているという事実だ。

 初めて息子がベビーカーに乗った時には、身体の左右に隙間がたくさんあってベルトをしないと身体がふらついていた。それが今はもう貫禄たっぷりに座っている。体格が良くなったのか、隙間なく収まっている。移動中の振動にも慣れたようだし、メッシュになっている覗き穴から見るといつの間にか寝ている時もある。スロープのない数段の階段や段差ならそのまま担いでしまっているが、それも時間の問題ですぐに辛くなるんだろうか。担げる間はもう少し頑張ってみようと思う。

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