ポップコーン

 映画館で食べるポップコーンが好きだ。観たい映画があって出かけているけど、正直な気持ちとしてはポップコーンを食べる口実に映画を観に行っていると言える。ポップコーンは映画館でしか食べられない物ではない。飲食店で提供している所もあるだろうし、コンビニにも売っている。自宅で息子が寝静まった後に、ポップコーンをつまみながら映画を観るのも悪くない。それでもなお映画館で食べるそれが一番美味しく感じる。今年に入ってから映画館には一度も足を運んでいない。確か数ヶ月前に会員カードの有効期限が切れたとメールが来ていた。

 上映開始時間が近くなると売店前に並ぶ人の数が一気に増える。僕は比較的トイレが近い方だと思っている。でも上映中に席を外した記憶はほぼない。昔と違って今は完全入れ替え制だから、見逃してしまったら再度チケットを買うしかない。それだけは絶対に避けたいから、ポップコーンと一緒に購入するドリンクのサイズは真ん中くらいにしている。ただしそれはドリンクだけの話で、ポップコーン自体は一番大きなサイズを頼んでいた。一人で観に行くことが無くなった後は、ドリンクとのセットがお得なサイズを2人で分けて食べるようになった。

 いつも気になっているのが、ほぼ毎回バターをポップコーンにかけるかどうか問われることだ。ポップコーンにバターと言えば、スーパーやコンビニで買える物を見かけたことはある。むしろ純粋な塩味はあまり見たことがなかった。僕はバターの香りが好きではないからいつも断っているけど、時々ほんの一部ではあるがバターがかかっているであろうポップコーンに当たることがある。食べられないわけではないからそのまま食べるけど、本当に間違ってかかっていた時は結構食べ進めないとバターの味が消えない。

 ドリンクで時折バターの後味を中和しながら、少しずつポップコーンの量を減らしていく。山盛りになっていて掴みにくかったそれも、斜めにすると指が底に到達するまでになる。最初は完全に弾けて食べやすい個体ばかりだったが、弾けきらずに硬いままの粒が目立つようになってくる。何とかして歯で砕こうと試みるが、かなり固いから歯が痛くなってきた。もう映画に集中できないほどだ。表面の薄皮のような物だけ剥がれて、歯の隙間に挟まってしまう。今度は歯の間の物が気になって余計に集中できなくなっていた。最終的に砕けたのだけど、中も固いままで美味しいとは言えない状態だった。

 気兼ねなく映画館に行けるようになって欲しい。『鬼滅の刃』が大ヒットしているらしく、日本の興行収入歴代1位になる可能性もあるそうだ。きっと何か多くの人を惹きつけるものがあるんだろう。僕は連載していたことすら知らなかったが、配信されているアニメを見て少し興味が湧いている。映画館でとは今は思わない。自宅のパソコンの画面でもいいから、いつかポップコーンを片手に観たいと思っている。

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