エナジー、ほとばしる

 男達が一斉に叫ぶ。ステージに立つ少女達に熱い視線を向けて一心に叫んでいる。曲に合わせて、合いの手を絶え間なく打ち続けている。カメラのシャッターを切る人がいる。ドリンクのカップ片手に踊る人もいる。毎週末親子連れで賑わう広場は、アイドルと観客のエネルギーで満ち溢れていた。よく晴れた日の午後の風景だった。

 腹が減ったので近くの蕎麦屋に出掛けた。蕎麦の大盛りと天丼のセットを頼んだ。濃い味のたれがかかった天丼と、歯応えのある蕎麦がとてもうまい。食べ始めると蕎麦湯が運ばれてくるので、麺と丼を食べ終わったら残ったつゆに足して飲んだ。腹が膨れたので、近くを散歩することにした。

 コンビニでお金を少しおろす。夕飯は家で自炊するつもりだ。コンビニの前にロケバスらしき車がとまっていた。誰か芸能人が来ているか、ドラマの撮影でもしてるのかと思い付近の通りを歩いてみた。コンビニ裏手の坂を登って右に曲がる。すると少し先で、ロケをしている集団を見つけた。制服を来た学生らしき若い人達が付近にいた。人だかりができていたので近くを通ってみたが、僕の知っている有名人は見つからなかった。おそらくCMか何かの撮影だったんだろう。

 気温は低くなかったが、風が少し吹いていて寒かった。身体が冷えると思い足早に家に向かった。地上の小田急線の跡地の広場で大勢の人達が賑やかに騒いでいた。アルコールやソフトドリンクで盛り上がっている人達の中で、明るい色のコートを着た若い女性達が人の輪の中心にいる。彼女らは合わせて4〜5人いたのでおそらくアイドルか何かのイベントだったんだろう。彼女達のそばにいる人達がカメラを向けて写真撮影を楽しんでいた。

 家に帰って、スマホで調べてみるとやはりアイドルグループのライブイベントのようだ。天気がよかったので、もう少し外を散歩したくなったので出掛けた。電車に乗って大きな公園にでも行こうかと思ったけど、風がさっきよりも強くなっていてとても公園にたどり着くまで耐えられそうにない。駅のそばの本屋に立ち寄ってから家に帰ることにした。帰り道、同じ広場の横を通るとイベントは更に盛り上がっており、ファンの人達の熱狂が凄まじかった。一緒に盛り上がれる自信はないけど、エネルギーを発散できる機会があるのはいいなと思った。

 また明日から1週間が始まる。明日から仕切り直しと思いたいからそう言う。本当は昨日と今日の境目も曖昧なのに。もうずっと前から僕たちはスタートをきっているのに。今日一日の価値は、きっと生まれてから死ぬまでの一生にも値するはずなのに。一瞬に永遠を閉じ込めて、僕たちは輝き続ける。

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