ビーフカレー

 月に2回にペースで、必ずカレーを作っている。食費を節約する為という目的もあるが、何より自分で作った方が美味しい。自分で作り始めてから、まず最初に玉ねぎを鍋から溢れるくらいたくさん刻んで、限界まで炒めたらどうなるかを試し始めた。少なくとも2時間、そして長い時には3時間近く炒め続ける。飴色の玉ねぎと言うが、実際それだけ炒めても飴色と言えるほど色は濃くならない。ちなみに少しだけバターを最初に入れてから炒め始めている。玉ねぎから出た水分をほぼ飛ばし切って、どろどろになるまでひたすら木べらで混ぜ続ける。

 時間をかけた甲斐があって、カレーはとても甘くなる。辛口のルーを溶かしても、僕は中辛くらいにしか感じない。もし甘口のルーにしていたら、とてつもなく甘みが溢れることだろう。そうして玉ねぎを長時間炒める工程は、手作りカレーには欠かせなくなっていた。次に僕が拘ったのは、カレーの出汁だ。普通に作れば事前に出汁を取ることはない。カレールーのパッケージの裏面に書かれている作り方にも、出汁のことが書いてあるのは見たことがない。ただ僕は味噌汁を作るように、昆布をまず水に30分以上浸した後に火を付ける。沸騰直前に取り出して、今度は鰹節を入れて数分煮立たせる。

 昆布と鰹節では終わらない。生の海老を剥いて、頭と殻の部分を出汁に投入する。海老からも濃い出汁が出るので利用する。玉ねぎを炒めている間中ずっと弱火で炊き続ける。時々浮かんでくる灰汁を取りながら、沸騰したら火を消して、落ち着いたら火を付けるのを繰り返している。2〜3時間煮込むと鍋からは濃厚な香りが立ち込めていて、海老好きの僕には堪らない匂いになっている。玉ねぎを炒めた鍋に、濾しながら出汁を入れたら、後は具材が柔らかくなるまでひたすら煮込むのみだ。

 最近は海老カレーに少し飽きてきたので、今度は海老の代わりに牛肉を使って出汁を取ることにした。最初に挑戦した時には、国産の程よく脂の乗った赤身を使って、海老の時と同じように煮込んだ。ビーフカレーを外で食べる時に、入っている肉が固くて食べ辛いことがあったので、柔らかくなるか心配だったが、僕の心配をよそに肉は箸で切れるほど柔らかくなっていて、筋っぽくもなかった。何時間も火を通さないといけないんじゃないかと思っていたから、数時間でできてとても楽に感じた。

 その後、再度ビーフカレーを作った時には、前回よりも大きな外国産のローストビーフ用のブロック肉を使った。味は問題ない。肉もしっかり火が通って柔らかい。強いて言うなら、肉の脂身が少なくてしっとりしておらず、ノンオイルのシーチキンに似ている。ラーメンの焼豚ならちょうどいいかもしれないが、カレーに入れるならもう少し脂があった方が美味しいとも思う。もっと美味しく作れる予感がする。料理は奥が深い。素人の僕などまだ入り口にすら辿り着いていないのかもしれないが、これからも幸せな食卓の真ん中に料理を並べ続けたいと思う。

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