自信

 これは決して僕の推察の域を出ることはない。通りを挟んだ反対側の住宅地で、1台の外車が路上駐車していた。活発そうな男の子の声と、また同じく活発そうな成人男性の姿が見えた。男性は男の子に一緒に出掛けないのかと叫んでいる。おそらく2人は親子だ。男の子は元気良く「行かない!」と自分の意志をはっきり伝えることで、彼の決断が外的な要因で今後覆されることはなさそうだった。この男性は時々、高級車に乗って自宅らしきその場所までやってくることがある。もしかすると相当稼いでいる人物かもしれない。健康的な肌の色とワックスで固められた艶のある髪の毛が、それを物語っている気がした。

 「自信」という言葉は、僕が一番好きな漢字2文字だ。自分を信じると書いて自信だが、その言葉は物事の結果がどうなるかということは含んでいない。結果がどうなるかは、結局その時にならなければ誰にも分からないのだけど、思った通りの結果が得られると強く願って、その為に行動している状態。それが自信があるということだと思う。でも行動が伴っているかどうかは別として、自信という言葉を単に口から発するだけなら誰にとっても容易い。自分以外の誰かのことは分からないが、少なくとも僕にはまだまだ行動が足りないということだけは分かる。

 僕は自分自身のことを心の底から信じていると、他の皆に伝える必要があるだろうか。「他の人はあなたが思っているよりも、あなたのことに興味を持っていない」と何かの本に書いてあった。僕が自信満々でいてもいなくても、今のところは誰の生活にも影響しないし、世界がひっくり返ることもなさそうだ。それでも僕は自分自身の為に、自分のことを他の誰よりも信じていると言葉にする。僕は完璧な人間ではないから、良い状態を常に一定に固定し続けることは難しい。だから何度でも唱えて行動して、無意識の領域にまで昇華させたい。

 たった一度しかないこの人生に賭けて、届き得られる限りの最高の自分になる。それが僕の目標だ。男として、夫として、父親として、そしてひとりの人間として成長し続ける。この世に生まれる直前に戻って全てをやり直せるなんて、誰の口からも聞きたくない。そんな映画のような話は信じない。やり直す度にもっとこうしておけば良かったと必ず毎回後悔することになるから。むしろやり直せないからこそのドラマがたくさんある。そしてそれぞれの場面には必ず意味がある。味わった感情にも何かしらの理由があって、それをどう扱うかを決めるのは自分だ。そのままそこに浸っていることもできるだろう。でも流れが途絶えれば、やがて濁って周りが見えなくなる。泥が巻き上がって、息をするのも苦しくなっていく。

 もっと自分の力を信じよう。素晴らしい未来は向こうからはやってこない。自分から歩み寄らなければ。前に進み続けなければ。本当の自分は、想像の域を遥かに超えて存在していると信じて。

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