悲しみはいつも突然に
確かに、昨日の続きを書こうと思っていた、今朝目覚めるまでは。
目が覚めて、スマホの画面を付ける。良くも悪くも、テレビを付けるより早く簡単に情報を入手できることができる。吉報に喜び、悲報はいつも簡単には受け止められない。コービーブライアントが亡くなったそうだ。
コービーと言えば、元NBAのスタープレイヤーで、キャリアを通じて一度も移籍せずレイカーズ一筋でプレーしたバスケットボール選手だ。以前マイケルジョーダンに憧れていたと書いたが、僕がバスケをプレーしていた頃は、ジョーダンに並んで若いコービーもNBAで活躍をしていた。背番号8と書かれたレイカーズのブカブカの大きなレプリカユニフォームを買って、自分がコービーのように飛んだり走ったりしているところを想像した。レイカーズの当時のプレーが収められたVHSを買って何度も見て動きを研究したりした。もちろん彼ほどバスケットボールがうまくはなれなかったが、見ているだけでワクワクして楽しかった。
前日に、まだNBA現役のレブロンジェームズが、コービーのキャリア通算得点記録を抜いたと聞いていた。その矢先、誰も予想が付かなかっただろう。
現役の時は、わがままだとか誰かと仲が悪いだとかいいことばかり言われてきたわけではなかったはずだ。キャリア終盤にはケガにも悩まされたと聞く。それでも彼は、プロフェッショナルとは何かを常に行動で私達に示し続けてくれていたのだと思う。そして彼が愛するスポーツに真摯に向き合うことで、世界中のファンに感動を送り続けていたはずだ。
残念なことに、コービーの娘さんも事故に巻き込まれ亡くなってしまったそうだ。まだ10代前半だったらしい。とても悲しい。若い、可能性に満ちた命が消えてしまうのは残念でならない。大切なものは、いつも失ってから僕たちはその存在の大きさに気付きがちである。こんなにも多くの人に勇気や感動を与える人物が、なぜ到底受け入れられそうもない理由で亡くなってしまうのか。悲しみの矛先はどこに向かう。どこにも向かえないことはわかっているはずなのに。
僕はコービーのたくさんのファンのうちの1人だ。きっと多くの人が同じように悲しみ、嘆いているかもしれない。自分には魔法を使えないし、時間も巻き戻せない。僕もいつか命尽きる日が来る。悲しみに暮れて涙が枯れた後は、願わくば空から見守っていてほしい。コービーだけではなく、叶わず生きられなかった人達。希望があるなら照らしてほしい。そして少しでも前に進むために背中を押してほしい。これからの毎日を全うする為に。
今はただ、日本の冬の冷たい雨に耳を澄ましている。Thank you and rest in peace, Kobe.