風除け
今日も電車に乗ってたくさんの人が下北沢にやってくる。その大抵は若者ばかりだけど、犬を散歩させる中年の人や、昼間から空き缶片手に談笑する酔っ払い達も見かける。駅前の喫煙所は通路がかなり狭くなってしまって、囲いの中では収まり切らない喫煙者達が通路に溢れている。そう言えば最近、タバコのゴミを彼らの側で黙々と拾い続ける人達がいる。区の職員の人達だろうか。誰かから苦情が行ったのかもしれない。喫煙自体を制限している訳ではないのだから、喫煙しない人間のこともちゃんと考えてほしいと誰かが言ったのかもしれない。
喫煙者よりも、非喫煙者を優先すべきということではない。ただ事実として路上に落ちるタバコのゴミはほぼ確実に喫煙者しか捨てようがないはずだ。タバコを吸わない人間がわざわざ喫煙所に出向いて、吸いもしないタバコを捨てていくなんてことがあるだろうか。絶対にない、とは敢えて言わないでおくが、要はゴミを捨てない人間と、ゴミを捨てる人間では後者の方が印象が良くないのは想像に難くないだろう。喫煙所の話なんて誰も聞きたくないかもしれないが、喫煙所だからではなく、街は共有しているのだから一線はあるよねという話。
そんな賑わう下北沢から電車に乗って大型家電量販店まで出掛けた。ミルクを作る為にお湯を沸かすのだけど、お湯を沸かしたやかんをそのまま放置すると冷めてしまって、何度もガスで火を付けないといけなくなる。その手間を減らす為に保温できるタンブラーを買いに向かった。新生児のミルクなので1回分の量は少ない。だから数十mlを数回分溜めることができれば事足りる。電気ケトルという選択肢もない訳ではないが、タンブラーでもかなり長い時間保温してくれるし、ずっと沸点近い温度である必要もない。値段も手頃なタンブラーがちょうどいい。
それとは別で再度同じ家電量販店に向かった。部屋の蛍光灯を取り替えるのと、エアコンの風が直接身体に当たらないようにする風除けを探しに行った。エアコン売り場のフロアに着いてすぐにそれは目に入ってきた。エアコンが壁掛けで並んでいる間の柱の所に、肩身が狭そうに置かれていた。いくつか種類はあるが、どれも基本的には同じ構造のようだ。値段は1,000円以下から3,000円以上と幅が広い。出掛ける前にエアコンの横幅を確認すればよかったと少し後悔した。幅が短い長いで数種類あったから。最終的には伸縮式で横幅を変更できる商品を買うことにした。
家に帰った僕は、風除けと一緒に買った蛍光灯を交換した。そして風除けを箱から取り出してエアコンに当てがった。思ったよりもエアコンとカーテンレールが近くて風除けの動きを妨げている事が分かった。どうしようもないのでかろうじて干渉を免れそうな位置で風除けを付属の両面テープで貼り付ける。本来はかなり可動域が広いはずだが、家の構造の問題で妥協せざるを得ない。それでも目的としていたエアコンの風に直接当たることはなくなったので結果的には良かった。今夜からは少し涼しい夜になるかもしれない。