待ち焦がれ
歩いたり走ったり、跳んだり物を持ち上げたり、身体が疲れたと感じる時にはある程度の肉体的な負荷によってそれらの感覚がもたらされる。ただ実際はそれだけではない。試験の結果、友達や恋人からの返答、そしてすぐには会えない誰かを待ち続けている時間。それらも肉体的な負荷と同様に、疲れたという感覚と一緒に重くのし掛かってくることがある。垣間見たい未来まで時間を一時的に進めて、それが自分の希望通りになっているかどうかを確かめられたらと、できもしないことを時々考えたりする。それはきっと輪郭のぼやけた不安をずっと抱えているからでもあるし、今の時点で何かをやり残しているからかもしれない。
子どもが生まれた時には、いくつか優先してやらないといけないことがある。僕の両親も同じように調べたり、幾つもの書類に記入したり、役所に出掛けたりしてくれたはずだ。子どもが無事に生まれたら、14日以内に出生届という物を提出する。これは文字通り子どもが生まれたことを自治体に届け出る書類だ。婚姻届と似た雰囲気の書類だけど、今回は病院側で必要な箇所に記入済みの届けが発行されたので、それに不足分を補って提出するだけだった。婚姻届は自分達の好きなデザインの物を用意していて、出生届も同じようなことが出来るらしいので、次回は事前に気に入った物を用意してもいいかもしれない。
出生届に加えて、これから検診に出掛けたり、怪我や病気で病院にお世話になるかもしれないから保険証の準備も必要だ。僕は産休を取らずに働き続けているので、扶養に入れる為の手続きも行った。滞りなく進めば、月末の検診までには保険証が届くはずだ。役所や郵便局が近くにあるから、歩いていけば辿り着きはするのだけど、このご時世だからそういった類の手続きもウェブで完了出来るように整備してほしい。役所が開いている時間は子どもの面倒をひとりで見ているお母さんや、例えお父さんが外に仕事に出ていたとしても隙間時間を使ってスマホやパソコンで手続き出来れば、個人情報が掲載された公的書類や記入した用紙を郵送中、もしくは持ち運んでいる途中で紛失するリスクをかなり軽減出来るはずだ。
面倒だと言っているのではない。面倒であるはずがない。手続きを行うことで子どもを守れるのなら喜んで行う。但し手続きする方も受理する方も、簡素化出来れば楽になるはずだ。工夫すれば時間を掛けずに終わらせられることをどんどん仕組み化していけば、本当に現状で解決しなければいけないことにもっと時間を使える。まだまだ気を抜けない状況であるし、これから先もまた同じような事態にならないとは言い切れない。だからもしそうなっても、必要な手続きや作業が安心して行えるように今から新しい習慣として定着させる事が必要だと思う。
そうは言っても僕が直接あれもこれも変えられるわけがない。自分の行動の影響が直接及ばない事であれこれ気を揉んでいても物事は前には進まない。待っている間も時間は過ぎていく。どれだけ待ち焦がれていても、自分に出来ることは疎かにしない。簡単ではないかもしれないが、後悔なく1日を生きる為に、飛び切りの笑顔で彼を迎える為に。