浴槽にすっぽり
最後に家の風呂に入ったのはいつだったろう。しばらくずっとシャワーで済ませていたのは、お湯を溜めるのが手間に感じていたのと、湯船に浸かることで汗が引くのに時間が掛かってしまうのが嫌だったからだ。本当は風呂にお湯を溜めるのも、身体が乾くのに時間が掛るのもさして大きな問題ではないのに。蛇口を捻ってしばらくそのまま待っていればいいんだし、汗だって時間が経てば乾くのだから、それまで何か他のことをして時間を有効に使うとか色々できるはずだ。
でも小さい頃から風呂が好きだったらしい。もちろん今も大好きだ。一度顔がお湯に掛かって怖がってしまったことがあったらしい。一緒に入る人が変わっても、風呂場で声が反響しているのが聞こえると怯えていたようだ。自分で風呂に入れるようになると、今度は長風呂をしがちで出た後は疲れてしまうことが増えた。徐々に長く入る為のこつみたいなものをそのうちに掴めるようになってきた。ぬるい浴槽から入り始めて、肩まではほとんど浸からない。本当は浸かりたいのだけど、最初にやってしまうと後が続かないからだ。
浴槽に浸かるのと合わせて、サウナに入るのも好きだ。元々汗掻きなので、サウナに入るとすぐに玉のような汗が大量に吹き出してくる。5分くらいしたら間髪入れずに水風呂に浸かる。息を極力止めないようにして足から静かに入る。途中で止まると逆に辛いのでそのまま肩まで浸かってしまう。身体の外側の血液が内側に引いていくような感覚がある。冷たさが落ち着いたら上がって身体を拭く。そしてウォーターサーバーまで行って汗で出た分だけ水を飲んでいる。
後になって知ったことだが、サウナで失った汗の分を水で取ったとしても、ミネラルなどが摂取出来ないと身体には良くないそうだ。塩のひとつまみでも口に出来たらと思うのだけど、今のところそういった仕組みになっている温泉施設には出会ったことがない。風呂上がりには瓶の牛乳を1本飲んでいる。火照った身体には、冷たい牛乳が氷水よりもうまい。途中で水分補給はしたけど、からからになった喉を一気に潤してくれる。家でも外でも、冷たい牛乳が最高だ。
何の話をしていたかというと、昨日久しぶりに家の風呂に入ったということだった。沐浴用に準備してあった温度計を蛇口から出るお湯に当てて、40度くらいになるように調節する。ちょうどいい塩梅になったらそのまま浴槽に溜め始めた。身体が浸かった時に半身浴になるぐらいになったら溜まったら蛇口を閉める。妻が入った後に自分が入った。筋トレの成果というのもおかしな話だけど、浴槽の横幅と肩幅がピッタリ合って窮屈だったことに驚かされた。熱くもなく温いわけでもなかった。のぼせない程度のいいお湯だ。
またサウナに行こう。温泉にも行こう。風呂上りに冷たい牛乳を一気に飲んで、美味しいもので腹を満たしに行こう。