裸ワンタン
コンロの火が二つと一緒にグリルの火も燃えている。ワンタンを茹でるお湯を沸かし、ワンタンを入れて食べるスープを温め、そして余ったワンタンの種で作ったつくねを焼いていた。ガスコンロ全体が熱を持って僕の身体が火照っている。扇風機の風はあるけど、火が消えてしまうので直接は当たれない。着ているTシャツが、発散しようとする身体の熱を妨げている。昨日思い付いた献立ではあったけど、買い物の片付けに想定以上に体力を奪われたので今日になった。
作ったのはワンタンスープ。ワンタンの材料は赤身のミンチ、生ホタテ、ニラ、ニンニク、生姜、ワンタンの皮、醤油、そして粗挽き胡椒だ。スープには顆粒の鶏ガラスープの素、出汁昆布、鰹節、花椒を使った。どこかのレシピを見ながら作ったわけではなく、以前作った餃子を思い出しながら種と皮だけワンタン向けにアレンジしたものになっている。ワンタン向けと言ったが特に定義があるわけではなく、多分これを入れたら美味しくなるだろうと考えて作った。
鍋に1リットルの水を入れて出汁昆布を2枚浸ける。30分以上経ったら火を付けて沸騰直前で昆布を取り出す。火はそのままにして鰹節を軽く一掴み入れる。2分くらいしたら火を止め、鰹節が底に沈んだら網で綺麗にすくう。細かな鰹節が残りやすいが、見た目が良くなるので残らず取り除くようにしている。出汁を取り終わったら、顆粒の鶏ガラスープの素を大さじ2杯加えて溶かす。香り付けに花椒をペッパーミルなどですり潰しながら少し加える。今日は冷蔵庫の余っていたにんじんを薄く切って入れた。お好みでネギを刻んで入れても美味しい。
主役のワンタンだが、まず大きめのボールに挽肉とホタテを入れる。手で握り潰すように挽肉と混ぜ合わせる。今回はやらなかったが、ホタテは事前に細かくした方が良いかもしれない。冷蔵庫から出してすぐに混ぜ始めたので手がかなり冷たくなった。素手ではなくて、ポリ袋等を使った方が後片付けが簡単でいいだろう。ある程度ホタテが細かくなったら、微塵切りにしたニラ、擦り下ろしたニンニクと生姜を加える。そして醤油と粗挽き胡椒で味付けをして粘りが出るまで更に混ぜ続ける。
種が出来た後は、皮で包むだけだ。今日の皮は正方形に近い長方形だったので種を乗せて二つ折りにするように包む。皮半分の辺に水を付けて貼り合わせるだけ。ひたすら包み続け、30枚の皮からあっと言う間に30個のワンタンが出来上がった。深めの鍋にお湯をたっぷり沸かしたら、ワンタン同士がくっ付かないように8〜10個くらいを一度に茹でる。数分茹でて火が通ったら、予めお椀に入れたスープの中に食べたい個数を入れて出来上がりだ。
ワンタンだけでは種が無くなりそうになかったので、余った種でつくねを作ることにした。サランラップの上に種を乗せて細長い形にする。優しくラップで包んで両端を捻る。浅めのフライパンにお湯を沸かし、捻ったラップの端を摘んで入れる。種の色が変わったら摘んだラップを静かに離して中まで火を通す。火が通ったらグリルで軽く焦げ目が付くまで焼いて串に通して完成だ。お好みで塩胡椒をしても美味しく食べられる。
炊きたてのご飯をワンタンスープと一緒に頂く。調理中の熱がまだ家の中に籠もっているようだった。僕はたまらずにTシャツを脱いだ。家で作るご飯がやっぱり一番美味しい。