ポケモンの話

 ゲームボーイで初代のポケットモンスターを遊んだ思い出がある。赤と緑が当時発売されていた。家にあったのは確か緑だったはず。ゲームボーイは一台しか買ってもらえなかった。兄弟がいると必ず発生する問題、それは誰が何時間遊ぶかということ。そしてどちらがデータをセーブして続きからやり始めるかということ。結論から言うと、この問題はゲームソフトが人数分ないとうまいこと解決しないと思っている。なぜなら当時、セーブデータはひとつのソフトでひとつしか作れなかったから。

 最新のポケモンはもっと柔軟にデータを残せるようになっているみたいだが、昔はそのひとつしか作れないセーブデータを巡って兄弟間での争いを繰り広げた。つまり、僕が最初に遊び始めて一旦セーブする。その後に弟がゲームボーイの電源を再び入れる。するとそこには既に僕が作ったセーブデータが残されている。自分で一から始めたいので最初からスタートする。そして僕のセーブデータを上書きする形でセーブしてしまう。

 冒険は一向に前に進まない。データを上書きし合うのでいつまでも次の街に行けない。どちらかが家に長い時間いない時にある程度進んで安心したと思ったら、次に電源を入れると最初の街に戻っている。最終的には兄弟喧嘩が始まることになるのだ。ポケモンはシリーズ化されているが、長い間ひとつのソフトにひとつのセーブデータという流れが続いていた。

 僕らがもう少し大きくなると、金と銀という対になるソフトが発売されて両親がひとつずつ買ってくれた。長らく兄弟間で揉めていた問題がひとつ解決したわけだ。ただ、ポケモンはほぼ必ず対になって発売されて仕様は全く同じではない。出現するポケモンがふたつのソフトで全く同じではないということだ。なので好みのポケモンが片方にしか出ないこともある。2人がそれぞれで遊べるのはいいが、段々相手が遊んでいるソフトが気になってくる。

 子どもなりに色々な条件を付けて交渉して、ソフトを取り替えたりして遊ぶようになった。その内にポケモン以外のことにも興味を持ったり、自分でゲーム機自体も買えるようになったりして、ポケモンを巡る一連のトラブルはなくなっていった。

 大人になった僕らは、家族親戚で集まった時にマリオカートで盛り上がるくらいで普段はゲームはしない。当時よりももっと大人になった僕は、より高価なゲーム機を買ったり、当時よりも長い時間ゲームに没頭することもしようと思えばできる。ポケモンの起源が実は下北沢にあったということを最近知って、感動にも似た不思議な気持ちになった。

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