新旧・原宿駅舎と神宮御朱印

 明治神宮の参拝客の足が止まり、本殿前を行列が交差する。袴姿の男性と、着物に身を包んだ女性が親族を引き連れて、一歩ずつゆっくりとした足取りで参拝客の前を横切っていく。時折吹く風がとても気持ちいい陽気の中、新たな門出の場面に偶然立ち会った。行列が交差している数分間、「おめでとう」の気持ちが心から染み出してくるようだった。

 連休の最終日、久し振りに電車で出かけた。原宿駅の木造の駅舎が役目を終えて、新しい駅舎が利用開始になったとテレビで見たので気になった。渋谷まで出て、山手線に乗り換える。いつも仕事では東京駅方面に乗るので、逆方向に乗るのも久し振りだ。電車はすぐ原宿駅のホームに滑り込む。確かに内回りと外回りでホームが分けられていて、以前よりも電車待ちのスペースが広い。利用開始されたばかりで、ホームも清潔感が漂う。

 ホームの階段を上る。以前は内回りと外回りの客が混じって混雑していたが、今は別々の階段なので快適だ。日曜日なので、人はもちろん少なくないが、移動するのが億劫になることはない。世間の外出自粛の動きの中で、比較的空いていると言っていいかもしれない。改札を出るとそこはもういつもの原宿。目立つことといえば、駅前に大きな商業ビルらしき建物があること。まだお客さんが入っているわけではなさそうだ。上層はマンションにも見える。

 原宿駅の外観も、木造から新しくなったことで随分と違う印象になった。ガラス製とおぼしきパネルをふんだんに使って透明感を出した作りになっている。原宿駅独自のという感じはしないものの、駅舎内と同じように清潔感の感じられるデザインだ。

 原宿駅の様子は確かめられたので、明治神宮に向かう。元号が令和になってすぐ、御朱印をもらうつもりで出掛けた。全く予想していなかったが、令和元年の御朱印を求める人で参道を1周するほどの行列ができていた。最後尾に辿り着いたが、かなり時間がかかると案内されたので断念した。他で、令和元年の御朱印はもらっていたので次の機会にと思った。そしてようやく今日そのチャンスが訪れる。

 本殿前の結婚式の列を横目に見ながら、社務所のほうへ向かう。御朱印に並ぶ人の列は前回よりも遥かに短く、すぐに順番が来た。初穂料を納め、御朱印帳を手渡す。僕の朱印帳はなぜか途中から上下が逆になってしまい、逆になったページからしばらくずっとそのまま御朱印をもらってしまっている。手帳の表紙は上下がはっきりとわかる絵柄なので、確認して貰えば上下は揃うはずだが、案の定今日も逆になりそうだったので事情を説明した。

 無事に御朱印をもらった後は、100円でおみくじを引いた。大御心と書かれた紙には、運勢ではなく和歌が印字され、裏面にはより詳細な解説が添えられている。僕が今日引いたのは、「磨かなければ光らない」といった趣旨のことが書かれている。努力を惜しまず、自己を磨き続けることで、正しい道を歩むことができると。

 正しい道?具体的に何を指しているのかはわからない。わからないから、自分の信じた道を行こう。僕は改めてそう思い、それをふところにしまった。

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