意見だ、総意じゃない
どうしてあたかも、それが皆の総意であるかのように言う?そのタスクに関わる自分以外の人の意見が、全て同じだと確認したのか。それはない。なぜなら僕は彼と話をしたことは一度もないから。名前も知らない。皆が、じゃなくて自分自身の意見であるという本質から目を背けないでほしい。それができないのなら、少なくとも周りの人間を同意なく巻き込まないこと。意見するのは賛成だが、それは個人の意見で、皆の総意じゃない。
働く人の健康をリスクにさらさないことを最重要とした結果、在宅勤務での対応に踏み切る会社が出てきた。僕も例外ではない。もちろんその変則的な働き方をする為の要件はある。それに合わない人もいれば、問題なく対応できる人もいる。それはいいとして、そこに待遇の差があるのはいいのか。普段の働き方を考えると、ある意味非常事態ではあるだろうが、もっと早くにそういった事態を想定できなかっただろうか。
僕は想定できなかったとは思わない。今のご時世だから言うのではない。「働き方改革」という言葉だけが浮いて、普段の過ごし方や仕事の仕方を見直そうと本気で思って行動した人がどれくらいいるか。電車に乗って、会社に行って、タイムカードを切って、仕事をして時間になったらまた電車に揺られながら帰る。お風呂で汗を流したら、晩酌をして眠りにつく。休みの日になったら昼過ぎまで寝て、それでいて時間がないと愚痴をこぼす。
僕の今の仕事は、基本平日だけ出勤する。だから週休2日で、祝祭日も休み。特に休みの前日は気が高ぶる。何となく機嫌がよくなって何でもできそうな気がしてくる。前々日までは夕飯は自炊していたのに、外にご飯を食べに行きたくなる。僕はいつもそんなふうだ。1回くらいならいいか、と毎週思っているので結局そこそこ飲食代に消える。外食が悪いとは全く思わないが、気分に任せて何となく出かけていることに自問自答している。
職場の衛生環境が同じでも、感じ方は人それぞれだ。だからある対応が決まった時に納得する人とそうでない人がいるのは仕方ない。会社として守らなければならないものがあるのもわかる。個人情報や会社の機密情報、そしてそれらが漏洩することのリスクもある。働く人間からすればその収入で生計を立てても、オフィスが一時的に休業状態になり、在宅で働くという選択肢が用意されなければ困るだろう。
健康を害するリスクを犯してまで会社に出勤するべきか。簡潔な答えが出づらい問題だし、人によって何を優先するかは違う。僕は収入が減ることに不安がないわけではないが、自分と家族の健康を守らなければならないのでリスクを犯してまで出勤したくない。リスクは低いと思っていて、通勤することも問題に感じない人もいるかもしれない。それはひとつの意見だから否定はしないが、人それぞれ何を一番に考えるかは違う。
全員が、心の底から納得する解決策なんてあるだろうか。自分の考えと完全一致する人間だけしかいないなら、何の問題もないんだろうけど。それってそもそも、自分しかこの世界に存在しないことにならないか。そんなの寂しすぎるだろう。だから違っていい。目一杯広げて、重なり合った部分を大切にすればいい。