ゲームでしか、勇者になれないのか
ドラクエが好きだ。時間をかければ誰でも最強の勇者になれる。少しずつ強くなって、スキルや呪文を覚える。装備を強くしてボスに挑む。どこまでも強くなれる気がして、時間を忘れて熱中するけど、レベル100でストップだ。その後は、ステータスを上げる為にアイテムを地道に集めることになる。そしてふと思う。僕自身は、その体験を通じて何か変わっただろうかと。
ロールプレイングゲーム、主にドラクエの場合だが、進め方は自分の中で決めている。シンプルだが、まず町や城に着いたらそこのいる人全員に話を聞く。話の途中で選択肢が与えられたら、その数だけ何度も同じ人と会話する。そして極力取り漏れのないように、取れるアイテムはすぐに手にいれる。そして探索している間に次の目的地がわかってボス戦に備える。
ボスと闘う為に、モンスターが待ち構える洞窟やダンジョンに向かう。レベルアップも行うが、ボスとの戦闘ごとに最低限レベルを5は上げるようにしている。と言っても、物語終盤に向かってレベルアップが大変になってくるのでラスボス辺りになると妥協している。最近のドラクエは、経験値がたくさん得られるモンスターと出会いやすくなるスキルがあったりするので、終盤でも苦ではない。
ラスボスまで倒したら、後はステータスを上限値まで高める為に、ドラクエでは種を集める。この種集めも原則運次第だが、種を回収しやすいモンスターがいたり、回収できる確率を高めるスキルがあるので最近のドラクエはそれほど難しくはない。
途中までは達成感が得られるから楽しい。子どもの時は思わなかったけど、その達成感はクリアすべき課題が与えられ続けるという前提の元で成り立っていたんじゃないか、と考えるようになった。ゲームの種類にもよるが、代表的なロールプレイングゲームはほとんど成長の上限が決まっている。だからそこまで到達した後は、プレイヤー側にも遊び続ける工夫が求められるのかもしれない。
ある程度の地点まで行って、その先に進む為には試行錯誤が必要と考えれば、僕はその探究心をゲームに向けられなかった。大人になって、自分の収入でゲーム機やソフトを自由に買えるようになって、遊ぶことはあった。ある程度遊ぶと「ゲームで操作してるキャラは強くなってるけど、自分は強くなったか」と考えてしまう。
僕にとってはそうでなかったというだけで、突き詰めるという点に関していうと、ゲームに情熱を注ぐことを否定しない。プロのゲーマーが活躍する世の中だから、むしろ今まであまりなかった視点からプロフェショナルとは何か、とか物事への多様な向き合い方について考えるいい機会にもなり得る。
梅原大吾さんというプロゲーマーがいらっしゃる。主にストリートファイターシリーズを中心に活躍されている。紆余曲折を経ながら、プロになられた。時々、YouTubeで彼のプレイ動画を見ることがある。僕には到底分かりそうにない駆け引きや戦略で戦う彼らはまさに真剣勝負だ。
職業は関係ない。探究心という火を灯して、さながら勇者のように冒険を続けよう。前を向き続ける者に、扉は開かれる。