舞台芸術、新しい働き方
新しい働き方を模索する中で、舞台芸術もその変革期に来ているのではないか。次世代の通信インフラを活用し、これまでになかった形での舞台芸術の実現は、もうすぐそこまで来ているかもしれない。
連日報道される感染症の拡大で、舞台関係の仕事が相次いでキャンセルになっているという。イベントも続々と中止になり、直近の仕事がなく、関係者を含め家計に直結する人達もいるそうだ。そんな現状に、舞台芸術のファンとして、僕なりの考えを話したい。
舞台は、直接劇場に足を運ばなければ楽しめないか。この問いは、サラリーマンが会社に行かなければ、他の場所で仕事ができないのかというのと同じだろう。政府からのイベント自粛要請や、在宅勤務の奨励がニュースや駅の構内放送で連日続いている。電車内の混雑は明らかに減ったし、結果的に外に出かけることも少なくなる。外に出なければ劇場にも行けないし、様々なイベントにも参加できない。現状は劇場にお客さんが集まらなければ、舞台作品は成り立たなそうだ。
そんな今の現状では、デメリットしかないように思われる。しかしある意味、この機会に今まで提供されていなかった形で、今までよりも多くの人に舞台作品を観てもらう形が作れたらいい。例えば、舞台公演は劇場で直接観るのと合わせ、生配信も同時に行ってはどうだろう。まもなく始まるであろう通信インフラの5Gを活用して、事情に寄り来場できない人達にも観てもらえるようにする。それができれば、劇場の座席数以上のチケットを販売することができる。そして結果的に潤沢な資金を生み、舞台関係者の労働環境を改善することになるだろう。
これまでは劇場の客席からの見え方や演出に注力していたと思う。これからはそれに加え、映像配信の為のカメラ位置、配信の為の準備など、新たに関わるプロフェッショナル同士が手を組んで舞台を作り上げることになるだろう。各作業工程の役割分担が進み、ひとりあたりの拘束時間が少しでも短くなれば、それまでいくらか犠牲にせざるを得なかった大切な人達との時間も確保できるのではないか。
色々と素人が偉そうに語ってしまった。自分は働きながら、今の日本の労働環境に対して大いに疑問を持っている。今回のように感染症が広がり、学校が休みになって親御さんが悲鳴を上げている、とニュースで取り上げられる。確かに普段学校にいて、家にはいない時間帯にお子さんが帰宅していれば生活のリズムも変えずにはいられない。しかし果たして、今までにそういった状況になっていなかっただけで、可能性があるとは誰も想像しなかっただろうか。
未知の問題に直面しているかどうかに関わらず、柔軟な働き方にシフトしていくべき時ではないだろうか。今日の常識は、明日の非常識になることだってある。それは命を守ることにも繋がるし、皆がもっとそれぞれの持つ能力を発揮する為の選択肢が増えることにもなるのだから。