朝寝、昼寝
iPhoneで育児のあれこれを記録し始めて分かったことがある。今までは睡眠時間がばらばらだったということだ。夜に寝始めて朝起きるまでの睡眠とは別に、昼寝をさせるように意識はしていた。風呂に入れる時間は毎日同じ時間になるようにしていたけど、昼寝の時間までは意識していなかった。抱っこして外を散歩がてらスーパーまで買い物に行って、用事を済ませて自宅に戻るとなぜか眠たそうにしてぐずり出す。でも買い物に出かけた時間が遅かったからか、風呂から出た後で寝て欲しい時に目が覚めていることが多くなっていた。疲れ過ぎても、そうでなくても素直に寝てくれない。眠気を感じた時に好きなだけ寝るというのは、周り回って本人も寝られないし親も寝かしつけるのに時間を取られることになる。
時間を取られることを悲観的に捉えているわけではない。むしろ今の月齢だからこそ、手取り足取り気を揉みながら関われる。自分で何でもできるようになったら、時間を取られた日々さえ懐かしく思うだろう。ただ親も生身の人間だ。お腹から出てきた後に過ごした時間の長さが違うだけだ。そして生身の身体だからこそ、疲れるし眠りたい。世話が必要な時に何もしないのは問題だとしても、眠れる時には極力眠っておきたいというのが本音だ。その為にはどうすればいいかを考える。まずは子どもが現状どういう生活リズムになっているかを知った方がいい。こうした方がいいという情報は溢れているけど、それをそのまま子どもに当て嵌めようとしても多かれ少なかれズレが生じる。何がズレているかを確認する為にも、まずは今の状況を把握するべきだ。
睡眠について言えば、夜の睡眠時間や午前中の過ごし方、昼寝の時間、そして回数などを記録することだ。データを比べてみれば何に差異があるのかが分かる。それが分かった時点で、具体的な問題点に対しての解決策として情報を探すことができると思う。現状把握と改善を繰り返しながら、子どもに合いそうなパターンを探っていく。探っている間にもどんどん身体は変化していく。長いと思っていた睡眠時間が実はそんなに長くなかった、とか充分寝ていると思っていたけど睡眠時間の1日の合計は思っていたよりも短いとか。そしてパターンが分かれば、その隙間時間を使って夫婦それぞれの時間を捻出することも可能になる。親も1人の人間だ。自分の時間が少しでも欲しいというのは自然なことだ。子どもも親もそれぞれ人格があって、お互い相手の代わりを務めることなどできない。
昼寝をさせればいいと思っていたから、朝寝という言葉は僕には新鮮だった。大人の場合で言えば、起床直後に再度布団に入り直す二度寝のようなものか。いや、一度はちゃんと朝陽を浴びて起き上がっているのだから、大人のそれとは違う。記録を付け出してから、それ以前のことを思い出してみると確かに午前中に眠そうにしてぐずり出すタイミングがあった。本来はそこで朝寝として30分くらい寝かせてよかったんだと思う。目覚めて授乳した後に、僕が仕事を始めてキーボードを叩き始めたくらいが息子の離乳食の時間だ。食べ終わった後に床に降ろし様子を見ていると案の定泣き出した。抱っこ紐で抱えたら、フードを被せて背中を一定の感覚で叩き続ける。眠たくないと感じているものを追い出すように叩いていると、身体を揺さぶりながら呻き声をあげる。そうなると最早時間の問題で、何度か胸に額をぐりぐりと擦り付けた後に眠り出す。
部屋の照明を落として、眠り始めた時間をアプリに入力した。後は30分間起こさずに過ごすだけだ。息子の眠りは深そうだ。ぶらぶらと揺らしていた両脚もだらんと垂れ下がっている。余程のことをしない限り、彼がすぐに目覚めることはないはずだ。途中でアプリを何度か確認する。睡眠時間の合計を表すグラフがどんどん長くなっていた。朝寝を含めて、1日の合計の半分くらいはあってほしいところだ。30分が経ったから息子に起きてもらう。足裏をくすぐるともぞもぞと動き出した。大きな溜息をついた後に目を開ける。自分達の昼食を済ませたら、昼寝をさせている。朝寝よりも長めに時間を取るが、遅くとも3時までには起こすようにしている。寝過ぎたり、起きる時間が遅いと風呂に入った後、夜に向かって寝づらくなってしまう。
夜中に全く起きないわけではない。でも抱っこすれば落ち着くし、母乳も昼間と同じように飲みっぷりがいい。昼寝の時間を早めているからか、起きてすぐに自分で再び眠ることも増えた。つまり親が少し楽になっているということだ。隙間時間も把握しやすい。隙間時間で好きなことが少しでもできれば、いくらか気が紛れる。そしてまた子どもと思いっきり向き合える。